BtoBの製造業について考える(株式会社クレイコンサルティング)

ブログ毎日更新中。50歳で製造業を退職、中小企業診断士として2025年4月に独立開業しました

工程監査と優越的地位の濫用

発注元(親事業者)が中小受託事業者(下請)の工程を見学することについて書きます。中小受託事業者にとってノウハウは重要な経営資源であり、他社との差別化を図って事業で利益を得るためには重要な要素です。これを盗まれ、模倣されることは死活問題になりかねません。



一方、発注元は工程を見ることを希望します。その一番の理由は、受託事業者(下請)の管理レベルを認識して生産委託できるか判断するためです。

<懸念されること>
委託事業者(親事業者)が受託事業者(下請)の工程を見た後で、ノウハウが盗まれた、受託事業者は工程を見せたくなかったが断れなかった、優越的地位の濫用であったと訴えられることです。

<解決法>
「品質管理レベルだけを見る」という目的を明らかにして委託事業者の品質管理担当者だけが決められたチェック項目を見る、という形にします。ノウハウには触れません。原則として品質担当以外の委託事業者は工程を見ないことになります。
 工程を見てしまうと、悪意はなくても疑われる可能性もあります。「李下に冠を正さず」です。

<営業活動>
この話が複雑なのは、受託事業者(下請)としてはノウハウの流出は避けるべきでありながら、自社の工程を開示することで受けられる仕事を訴求して仕事をとる、という営業活動としての工程開示の必要性もあります。

<解決法>
受託事業者(下請)側から「ぜひ工程を見ていってください」と言われた場合に、委託事業者(親事業者)の社員は案内に従って工程を見せていただくことにします。この時、工程についての写真、動画、音声の記録は残さないことが重要です。

私の経験では受託事業者から「工程を見て」と言われた時にそれを覚書とまではしていませんでした。もちろん、お互いに相手のノウハウを尊重する姿勢が重要です。

また、他の企業からの機密として生産受託をしている場合は隠さなければなりません。それを営業活動として他の取引先に開示してしまうということは、そうした機密を守れない企業風土であると推測されます。

中小企業で製造業の皆様へまとめ
・ノウハウや他の取引先情報が盗まれないよう必要なところはきっちり隠しましょう
・隠したうえで工程を見てもらい、信頼を獲得して発注品目の幅を広げましょう

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