BtoBの製造業について考える(株式会社クレイコンサルティング)

ブログ毎日更新中。50歳で製造業を退職、中小企業診断士として2025年4月に独立開業しました

品質管理

製造業の現場が変わる「課題管理表」の使い方

製造業の現場では、「問題はあるが、誰が何をやっているのか分からない」「会議で話して終わる」という状態に陥ることが少なくありません。そのような状況を改善するために有効なのが、シンプルな「課題管理表」です。ただし重要なのは、単なる進捗管理では…

全数検査と抜取検査の違いを説明できるか

製造現場でよく聞く言葉があります。「うちは品質が厳しいから、最終でしっかり検査している」一見、正しいように聞こえます。しかし、この考え方のままでは、品質も利益も両立しません。問題は検査の強さではなく、検査の前提が設計されているかどうかです…

調査報告書の重要性と構造

製造業では、品質問題や不具合、工程の問題などが発生したときに「調査」を行うことがあります。しかし実際には、調査は行われていても、報告書として整理されていないことが少なくありません。特に、技術者ではない従業員が現場の問題を確認しようとすると…

中小製造業における品質管理の課題と進め方

製造業の品質管理を語るとき、日本では長く TQC(Total Quality Control) が理想形とされてきました。TQCは「品質は検査で作るものではなく、全社で作り込むもの」という考え方です。設計・製造・購買・品質保証などすべての部門が品質に関与し、工程で品質…

金属加工の品質は前後工程で決まる

製造業の現場で起きる品質トラブルを見ていると、必ずしも「その工程のミス」だけが原因とは限らないことに気づきます。むしろ多くの場合、問題は前工程から持ち込まれているか、あるいは次工程との関係が考慮されていないことにあります。この視点を持つか…

素材受入れ条件で工程能力を保証する

受託加工業では、支給材を受け取り、切削加工して納品するという形態が一般的です。普段は問題なく加工できていると、「素材はそのまま来るもの」という前提が暗黙のうちに固定化されます。しかしある日、金属粉が付着した素材を受け取り、そのままチャック…

日本の製造業の未来と品質インフラ整備

前回は「設計品質」における海外と日本の違いを整理しました。今回はその下流にあたる製造品質、つまり現場運用の構造に目を向けます。結論を先に言えば、海外は「人に依存しない工程」を前提に設計し、日本は「人が最後に何とかする」前提で回している、こ…

海外の設計品質不正の構造的な問題

品質不正というと、日本では検査データ改ざんや測定省略といった「現場起点」の問題が話題になりがちです。一方、海外で大きなニュースになる品質問題を見ると、その多くは設計品質や認証プロセスを起点としたものです。代表的な例としては、・Volkswagen の…

経営改善と品質管理のためのトレーサビリティー

生産トラブルや不適合が発生したとき、「いつ・どこで・何が起きたのか」が分からない状態では、再発防止は経験と勘に頼るしかありません。一方、生産ロットのトレーサビリティーが確保されていれば、材料から加工、梱包、出荷までの流れを辿ることができ、…

出荷梱包形態の変更は軽い仕様変更ではない

顧客から「出荷時の梱包を変更してほしい」「箱ではなくトレイにしてほしい」と依頼されることがあります。一見すると、単なる梱包方法の変更に見えるかもしれません。しかし実務的には、これはかなりインパクトの大きい変更です。特に中小製造業にとっては…

安定しない測定はデータの価値を下げる

製造業において、測定のたびに寸法が変わる、いわゆる「安定しない測定」は珍しい話ではありません。加工ばらつきや測定条件の影響を考えれば、ある程度のばらつきが出ること自体は自然な現象です。しかし、本当に注意すべき問題は、測定値のばらつきそのも…

計測機器管理とリスクの考え方

製造業において計測機器の管理は、ISO9001でも重要な要求事項として位置づけられています。それは、品質保証の根拠が「測定結果」にあり、その信頼性が崩れると、合否判定や工程判断そのものが成り立たなくなるからです。どれだけ立派な図面や工程を持ってい…

経営者の視点から見る変化点管理

製造業における「変化点管理」は、ここ10年ほどで急速に重要視されるようになりました。特にサイレントチェンジが問題視されるようになって以降、「何か変えたら品質保証に相談する」という運用が広がっています。しかし、この運用をそのまま厳格に適用する…

製造業における初品検査の経営視点

製造業における初品検査は、新製品の量産開始時や、設計変更・工程変更・トラブル後に行われる最初の検査を指します。多くの現場では「図面や仕様書に合っているかを確認する検査工程」として扱われていますが、経営の視点で見れば、その理解は不十分です。…

取適法では検査が終わらないから支払えないは通用しない

中小製造業の受委託取引では、納品時の検査と検収をどう扱うかが、昔からよく話題になります。特に最近は、支払期日の制限が厳しい、価格交渉や協議プロセスが重視される、取適法の流れで「不作為」が問題視される、といった背景から、従来の感覚のままでは…

QCDを個人に依存させない

製造業における品質不正の問題を考えるとき、「不正をした人が悪い」「モラルが足りない」という議論に陥りがちです。しかし、実際の現場を見ていると、不正は個人の資質よりも、組織の仕組みによって生まれているケースが少なくありません。その代表例が、Q…

品質不正を防ぐために管理職が現場でやるべきこと

中小企業において品質不正が問題になると、経営者から管理職に対して次のような言葉が投げかけられることがあります。「管理職として責任を持て「もっと現場を見に行け」どちらも、方向性としては正しい指示です。しかし、現場ではこの言葉が次のように理解…

コスト削減提案が歓迎されない理由

製造現場では常に「より良く、より安く」が求められます。生産性を高め、加工条件を最適化し、工具コストを下げることは、ものづくり企業にとって当然の営みです。しかし近年、多くの企業では量産中の条件変更が極めて慎重に扱われるようになりました。背景…

品質検査こそ標準化が効く

製造現場で「標準化が重要だ」という言葉は何度も耳にするはずです。設計工程でも、生産工程でも改善のテーマとして挙げられます。しかし、標準化の効果が最も短期間で、しかも数字として表れやすい場所は品質検査だと考えています。<なぜ検査工程がカギに…

QC工程表とControl Plan(PCP)

製造業では「QC工程表」という言葉をよく耳にします。工程ごとにどんな検査を行い、どのような条件を守れば品質が安定するかをまとめたもので、品質管理の中心的な文書です。一方、自動車業界などではこれを「Control Plan(管理計画書)」や「PCP(Process …

品質管理部門を立ち上げるには

多くの中小製造業では、現場の技術力と職人の経験を強みとして品質を維持してきました。しかし、顧客要求の高度化や取引形態の変化に伴い、属人的な管理だけでは品質確保が難しくなっています。ISO9001を取得している企業であっても、形式的な体制に留まり、…

品質データ改ざんの構造的な問題

2024年11月に精密部品メーカーのツバキ・ナカシマで品質データ改ざんが発覚しました。出荷品の検査データを偽装し、不適合品を納入していたというものです。このニュースの構造的な問題について書きます。<なぜ不正が起きるのか>原因について、検査員は日…

品質管理はAQL・LQから工程品質へ

QC検定などで「AQL(合格品質水準)」や「LQ(ロット許容不適合率)」という言葉を聞くことがあります。これは統計的な抜き取り検査の基準であり、ロット全体の中でどの程度の不適合を許容するかを定義するものです。たとえば、AQL 1.0 とは「100個中1個の不…

品質保証部門が組織を弱くするリスク

製造業において「品質第一」という言葉は、経営理念や品質方針の中で最もよく見かける表現です。本来、品質保証部門は企業の信頼を守る要であり、品質を高めることで競争力を生み出す存在です。しかし、現実にはこの「品質至上主義」の使い方を間違うと、か…

測定を社外で行う意味

高額な三次元測定機や画像測定機は、中小製造業でも取引先の要求水準や工程能力を示すために必要性が高まっています。ところが、こうした設備は数十万円から一億円規模となるため投資が問題になることがあります。そこで注目されるのが、「測定機を共有する…

加工機より高価な測定器投資

検査は価値を生まないという原則から考えると、「測定器は生産性を直接高めない」ということも言えます。一方で、測定器は信頼を作るのも事実です。製造業では生産設備の投資の話になりがちですが、最終的な自社の信頼を担保するのは測定器の管理と運用です…

官能検査(Sensory test)の管理手法

機械系の製造業では、寸法やトルク、電気特性など、多くの性能を数値で管理できます。しかし一方で、「滑らかに回る」「カチッとした感触」「高級感のある仕上がり」といった人が感じる部分は、数値では表せません。このような領域を評価するのが「官能検査…

繊維業界と機械業界の品質管理の違い

繊維業界とは衣料品などを製造販売する業界です。私の前職では繊維の製品と機械、電子機器の製品も混在していました。今回は繊維業界の品質管理について、機械業界との違いという視点で整理してみます。<1. 品質基準が「数値」ではなく「感覚」である>機械…

小規模事業者の品質保証体制とは

品質保証体制を構築するとなると、ある程度の規模の企業で組織で役割分担されている状態を思い浮かべますが、実際には少ない人数で運用する方法もあります。<品質保証体制の目的>不適合品を出荷しない、失敗から改善できる、というのが原則です。そのため…

ゼロディフェクトによる品質改善とは

ゼロディフェクトとは1960年代、米国のフィリップ・クロスビー(Philip Crosby)が提唱した「品質は検査で作るのではなく、工程で作り込む」という考え方です。実際、製造現場で「品質改善」という言葉が使われると、多くの場合「不適合を減らす」「検査での…