塗装工程が正しく行われたかどうかは完成品を観察しても判断しにくいところがあります。そこで一般的に行われる塗装に期待される機能ごとに評価方法を挙げてみます。
<色>
標準見本との比較です。測定器も存在します。色を測る場合は光源の種類と明るさ、測定者の距離などを定めて判定がぶれないようにします。日光で見るのが理想かもしれませんが、雨の日や夜でも判定する必要があります。
<輝度>
測定器で測り数値化します。数年前から自動車のボディーの塗装を含めて特に輝度を求められることが多くなっています。
<膜厚>
塗装の膜厚は数マイクロメートルから100マイクロメートル(0.1mm)ぐらいです。精度の高い工程で塗装して均一な厚みになるのが理想ですが、その厚みを測るには膜厚計が一般的です。製品を破壊したり傷をつけることなく塗装面にあてると膜厚を表示できます。いろいろな種類と価格帯がありますので、測定物の膜厚測定に適切なものを選ぶ必要があります。
厳密な塗膜の厚さを測る場合は切断して顕微鏡を使って測る方法もあります。色が違いによって塗装の層ごとの厚みも分かりますが、測定に時間がかかる上に製品を切断する必要があるので試作品の評価やトラブル時の原因究明の際に行われます。
<表面の異常>
ブツ、へこみ、傷、みかん肌などいろいろな表現が使われますが、要は狙い通りの塗装の表面状態でないところのことです。異常の形や大きさはいろいろあり、すべてを取り除くのは不可能なので、ある面積に対して大きさと数で判定します。その場合には「夾雑物測定シート」という便利なシートで見比べて判定すると便利です。
<密着>
層ごとに想定通りにはがれにくくなっていることを測るものです。塗装を引っ張って強度を判定するわけですが、決められたセロハンテープを貼ってはがして判定するのが一般的です。その際に塗装にカッターナイフでXの傷をつけたり、1mmや2mmの碁盤目の傷をつけてテープではがすことで検査します。傷によりできた塗装面の端はセロハンテープではがれやすいため厳しい試験になります。ただし、カッターナイフで塗装膜を貫通するように力加減をして傷を入れるのが難しく、判定に影響するのが難しいところです。
<硬度>
塗装が硬く仕上がっているかどうかは鉛筆の芯の先を平らにして、塗装に45度から押し付けて鉛筆の芯と塗装のどっちが変形するかで検査します。鉛筆の芯のB、HB、Hなどの硬さでどの硬さより塗装が強いか(=硬いか)です。JISで決まっています。
<柔軟性>
逆に塗装が硬くなりすぎず、母材の変形に追従して割れないことを要求されることもあります。その場合は母材を曲げたりして変形させても塗料が割れないことをチェックします。
<耐食性>
塗装後の製品や部品を塩水噴霧、CASS試験、人工汗、海水、70度の温水などに浸して数日放置してどの程度錆が発生するかで判定します。
中小企業で製造業の皆様へまとめ
・塗装は客観的な評価方法と判断基準がJISで定められています。
・新しい塗装は日々開発されるので都度判定方法も決めて運用する必要があります。
・発注元の要望に合わせて検査員を教育して正しく評価できることは強みになります。
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